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ドローン農林水産省が推進する「農業DX構想」とは?

農林水産省が推進する「農業DX構想」とは?

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2022.02.03


農業DX構想は、農林水産省が推進する新しい農業の形です。昨今の日本における農業は、労働力不足をはじめ多種多様な課題を抱えており、労働力不足に伴い、その他の課題も顕在化しています。それを解決する一手として期待されているのが、農業DX構想です。本記事では、農林水産省から公表されている資料を参考に、現在ある農業の課題を踏まえつつ、農業DX構想について解説していきます。

農業DX構想とは?農林水産省の資料を参考に解説

農業DX構想とは、一言でいえば「デジタル技術を活用した農業」という意味です。昨今注目を集めている具体的な農業DX構想としては、農薬散布にドローン(デジタル技術)を活用した事例が挙げられます。
農業DX構想は、農林水産省の「食料・農業・農村基本計画」から生まれた構想です。そのため、農業DX構想を理解するためには、まず「食料・農業・農村基本計画」から押さえておく必要があります。
「食料・農業・農村基本計画」とは、「食料・農業・農村基本法」に基づき、食料・農業・農村のそれぞれに関して、政府が中長期的に取り組むべき方針を定めたものです
この「食料・農業・農村基本計画」は、さまざまな情勢変化を踏まえ、約5年ごとに変更することとされています。そして、令和2年3月31日に閣議決定された「食料・農業・農村基本計画」の中で、農業DX構想は次のように公表されました。これが、農業DX構想が初めて文面として世に出されたものとなります。

食料・農業・農村基本計画(令和2年3月31日閣議決定)において、データ駆動型の農業経営により消費者ニーズに的確に対応した価値を創造・提供する農業(FaaS(Farming as a Service))への変革を進めるため、デジタル技術を活用した様々なプロジェクトを「農業DX構想」として取りまとめることとされました。
引用:農林水産省 農業DX構想検討会

農業DX構想の目的とは?農業の課題を踏まえ解説


昨今の日本の農業においては、多種多様な課題が生まれています。農業DX構想は、そうした農業の課題を解決する一手として期待されています。
ここでは、農業が抱える主な課題について確認していきます。

高齢化に伴う労働力不足の課題

高齢化が叫ばれて久しいですが、その中でも特に農業は高齢化の影響を強く受けており、それに伴って労働力不足の課題が生じています。また、従来の農業は肉体労働の側面が大きく、その点からも高齢化に伴う労働力不足は、年々より大きな課題として取り上げられています。

耕作放棄地拡大の課題

労働力不足に伴い、耕作放棄地が拡大していることも課題として挙げられます。耕作放棄地とは、以前まで耕作されていたにもかかわらず、過去1年以上作物が栽培されておらず、所有者が数年の間に再び栽培する意思をもたない土地のことを指します。
こうした耕作放棄地が拡大していることで、雑草・害虫の発生、廃棄物の不法投棄の原因、そして国内の農業生産減少による食料自給率の低下と、さまざまな問題に繋がる元凶となってしまっています。

食料自給率低下の課題

先述の労働力不足や耕作放棄地拡大により、食料自給率低下が引き起こされています。実際のところ、近年では日本の食料自給率が40%程度を推移している状態が続いており、これは先進国の中でも特に低い水準とされています。また食料自給率が低い場合、食糧の供給を輸入に頼る率が高まります。
その際、商品の価格は輸入時の取引価格に依存することとなり、場合によっては著しく商品価格が上がってしまうことの原因になります。また、輸入元の生産量が災害などによって大幅に減少した場合には、最悪の場合輸入がストップしてしまう可能性もあります。実際、過去には干ばつや異常気象などにより、輸出国の生産量が減少して国際価格が高騰したケースもあり、食料自給率が低い状態が続いていると、そうした際に経済的な悪影響を大きく受けてしまいます。

既存の農業における課題解決を目的にする農業DX構想

農業DX構想は、上記の課題を解決することを主な目的としています。高齢化に伴う労働力不足・耕作放棄地拡大・食料自給率低下が進む中で農業は今、大きな変革を求められているのです。
そのための一手となるのが、デジタル技術を活用した効率性の高い農業を実行することです。その中では、消費者ニーズを生産者の主観に依存した定性的観点で捉えるのではなく、客観的なデータで捉えたうえで、消費者が価値を実感できるような農産物・食品を提供していく必要があります。これが、今度の農業に求められる新しい形なのです。

農業DX構想の具体的な取り組み・事例

最後に農業の諸課題を解決する、農業DX構想の具体的な取り組み・事例についてご紹介していきます。

生産者が直接販売できるプラットフォームの提供

農家・生産者が、農作物を個人の消費者や飲食店などに直接販売できるプラットフォームを活用した農業DX構想の事例です。これによって、農家・生産者が自ら価格を設定することができ、売上・販路拡大をはじめ、売れ残り削減にも寄与します。また売上・販路拡大が実現することで、事業規模が増して従業員を補完することができ、労働力不足を解決することにも繋がっていくでしょう。

低コスト生産を可能にするITを活用した圃場・作業管理

従来の農業では、生産コストと売上の釣り合いが取れずに、農作物を生産しているのに売上を確保しにくいというケースがありました。そんな中、パソコンやスマートフォンを利用した、遠隔地からの操作が可能な自動給水システムの導入や、圃場(ほじょう)管理システムの活用は、生産コストを削減することに繋がります。
こうしたシステムを導入・活用することで、作業効率が向上し、その結果、生産の低コスト化が可能になることで、収穫量アップや売上アップを図ることができます。

経営分析サービスによる農業経営の見える化

農業は産業分野の中でも特にデータ化が進んでおらず、農業経営者の憶測や主観的な経験値に基づいて運営しているケースが多いのが実情です。
そこで、経営分析サービスを活用することによる、農業経営の見える化を実現した農業DX構想の事例が注目されています。これによって、出荷量・管理・コストを客観的なデータとして見える化し、データを基にした数量的判断ができるようになります。その結果、憶測や主観に頼らない、客観的で正確な農業経営をすることができるようになるでしょう。

まとめ

今回は、農林水産省が推進する「農業DX構想」について確認していきました。
今後の農業において、デジタル技術を活用することは不可欠です。これまで生産者の主観的な価値観に頼っていた部分を、経営分析サービスを用いて見える化し、客観的なデータに基づいた運用に変えていく必要があります。
高齢化による深刻な労働力不足、耕作放棄地の増加や食料自給率の減少などは、このまま放置すれば、より甚大な問題へ繋がってしまいます。それを防ぐためにも、「農業DX構想」に基づき、私たちの手で農業を変えていきましょう。

マゼックスでは、デジタル技術を活用した農業の1つの手段として、農薬散布などに利用できるドローン機器の開発・製造を行っております。農業DX構想に基づいたスマート農業を検討している方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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