野菜を育てる上で害虫や病害は非常に厄介な存在です。野菜をダメにしてしまうだけでなく、農家の収益にも悪影響を及ぼします。そこで重要なのは、各病害虫を理解して、適切に防除することです。一括りに野菜の防除方法と言っても、さまざまな方法があるため、野菜や害虫の種類に応じて最適な方法を取り入れることがポイントです。
今回は野菜の防除方法の種類や、害虫・病害ごとの防除方法についてご紹介いたします。野菜の防除方法や病害虫にお困りの方は、ぜひ参考にしてみてください。
野菜はとても繊細な作物であり、害虫にも狙われやすい農作物です。そのため防除は欠かせない農作業の1つです。ここでは、圃場・益虫・農薬、3つの野菜の防除方法についてご紹介いたします。
耕種的防除は病害虫が嫌う特性を取り入れて、圃場に病害虫を寄せ付けない環境をつくる防除方法です。病害虫が嫌う環境を整えることで、病害虫の発生密度を低く維持できます。野菜に合わせた技術や資材を取り入れることがポイントで、複数の防除方法を組み合わせるとより効果的です。
耕種的防除の例①病害虫
耕種的防除の例②害虫
益虫とは害虫の天敵となる虫のことです。益虫を利用することは「天敵農法」をもいわれ、野菜の農薬残留の可能性や害虫でない虫の駆除を避けつつ、野菜の防除ができます。益虫を利用することで定期的な農薬散布が不要となり、手間とコスト面でメリットがあります。
益虫による害虫駆除の例①アブラムシ
益虫による害虫駆除の例②コナジラミ
農薬は効果的な防除方法の1つです。農薬の安全性について疑問視している方もいらっしゃると思いますが、農薬取締法に基づいて安全とみなされた農薬のみが登録されています。効果を最大限に発揮するにも、闇雲に散布するのではなく、使用適期を逃さずに散布するのがポイントです。また人手不足や担い手の高齢化などの問題を抱える農業界では、農薬散布作業が課題の1つとなっています。そこで近年活躍しているのが農薬散布ドローンです。導入費用も相場で100万円ほどと無人ヘリコプターと比較しても安価で、効率的に高精度の農薬散布を実現することが可能です。
ここでは野菜に多い害虫や病害の防除方法についてそれぞれご紹介いたします。
アブラムシ類は、春夏野菜に多い代表的な害虫です。なかでもワタアブラムシは非常に厄介で、6〜8月をピークに年10数回も発生します。またアブラムシ類の被害にあうことでウイルス病が発生する可能性もあり、徹底的な防除が必要です。防除には農薬が効果的。有機リン系やピレスロイド系、ネオニコチノイド系が高い効果を発揮します。
コナジラミ類のシルバーリーフコナジラミは、トマト黄化葉巻病を媒介するとして大きな問題となっています。コナジラミ以外にも、オンシツコナジラミやタバココナジラミなどが果菜類に発生します。それぞれ特性が異なるため、耕種的防除が効果的です。例えば防虫ネットや植え付け時の殺虫粒剤、栽培後の施設の蒸し込み処理などが挙げられます。
うどんこ病は葉の表面に白い粉状の病斑が発生し、野菜品質や収穫量が低下する病害です。キュウリやカボチャなどのウリ科野菜に発生しやすい病害となっています。発生後すぐに予防効果の高いダコニールやフルピカなどの防除薬を用い、発生が増えてきたらEBI剤やプロパティフロアブルなどが高い効果を発揮します。
べと病はべん毛菌類と言われるカビが病原菌であり、湿度が高い時期に発生する病害です。特に梅雨時期に多く発生し、病気の広がりも早いため徹底的な防除が必要です。防除方法は薬剤散布が効果的。ジマンダイセンやダコニールなどの保護殺菌剤を使用し、病気が進んでいる場合は治療効果のあるアミスターフロアブルやリドミルMZなどの薬剤を使用しましょう。
疫病は主にトマトやナス科野菜に発生する病害です。疫病菌というカビが原因であり、初期段階では水が染みたような斑点が発生します。だんだんと拡大していくと、茎や球根、実にまで斑点ができます。べと病のように湿度を好む病害であり、通気性の良い環境にすることが防除方法の1つです。また薬剤散布も効果的で、予防にはべと病と同じ薬剤を使用できます。
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今回は野菜の防除方法についてご紹介いたしました。害虫や病害は野菜を育てる上で避けては通れないものです。できるだけ多くの野菜を守るためにも、害虫や病害に適した防除方法を用いることが大切です。
防除方法にはさまざまな種類があるため、まずは育てている野菜やほ場に多くみられる害虫や病害の特徴を押さえてみましょう。ぜひ今回ご紹介した内容を参考に、野菜に合わせて適切な防除方法を取り入れてみてください。