ドローン農薬散布ドローン自作・改造のリスクについて

農薬散布ドローン自作・改造のリスクについて

ドローン
2023.09.29

農業用ドローンは、肥料散布や農地の監視などに活用でき、特に農薬散布作業の省力・効率化を目的として、多くの農家で導入が進んでいます。各所で導入が進む中、費用面が気になるところですが、できるだけ安価に農薬散布ドローンを入手できる方法はないかと「農薬散布ドローンは自作・改造できるのか?」とお考えの方もいるのではないでしょうか。

結論として、「農薬散布ドローンの自作・改造はおすすめしない」のですが、本記事では農薬散布ドローンの自作・改造の可否や自作・改造した際のデメリットやリスクを解説します。

農薬散布ドローン自作・改造のリスクについて

目次

そもそも農薬散布ドローンは自作・改造できる?

結論として、農薬散布ドローンは自作・改造が可能といえば可能です。
ドローンの自作や改造には専門的な知識が必要で、工学や技術への知識がある場合には、応用的に農薬散布ドローンの自作や改造が可能なケースも多いでしょう。特にレース用ドローンや空撮用ドローンには自作や改造ドローンが多い傾向にあります。
原料からドローンを自作するのは難しい傾向にありますが、ドローン用の部品を個別に購入し組み立てる、他の機械の部品を加工・改造することで自作できます。ただし、農業用ドローンに適したパーツは、大きなバッテリー容量が必要だったり、農薬などを積んで飛ぶためのパワーが必要だったりするため、探して入手するのが大変なものもあります。

農薬散布ドローンを構成する主な部品

一般的なドローンは、部品を固定するためのフレームをはじめ、機体を制御するフライトコントローラーや電力から動力を生み出すモーター、受信機、送信機、プロペラ、バッテリーといったものから構成されています。こうした部品で機体を構成することで、ドローンは飛行可能になります。
また、農薬散布に用いる農業用ドローンには、前述の部品に加え、農薬の積載と噴出・散布する機能が必要なことから、農薬を積載し運ぶためのタンク、農薬を吐出するポンプ・ノズルなどを追加することになります。
用途やモデルなどによっては、その他の部品が搭載されているケースなどもありますので、これらは一般的なドローン部品の構成例として参考にしてください。

農薬散布ドローンを自作するメリット

農薬散布ドローンを自作・改造するメリットは、ドローンの導入に際しての価格を抑えやすいという点です。また、必要な機能を追加して不要な機能を省き、用途に応じた最適なドローンを構成できる点もメリットです。

農薬散布ドローンを自作・改造した際のデメリットとリスク

農薬散布ドローンを自作・改造した際のデメリットとリスク

ドローン以外にも、農業では一般的に耕運機やトラクターをはじめ草刈機や噴霧器など、さまざまな機械が活用されています。こうした機械の扱いや整備に手慣れている場合には、農薬散布ドローンの整備に関しても、自分で行おうと考えているケースも珍しくないでしょう。
その延長でドローンの改造や自作を検討されるケースが想定されます。実際に、上でご紹介した価格を抑えられる点や、用途にあった最適なドローンにできるといった点で、改造や自作にはメリットがあります。しかしドローンの自作・改造にはいくつものリスクがあるのも実情です。具体的には、次のようなリスクが挙げられます。

ドローン飛行の許可申請が下りないケースがある

2023年現在は、機体重量100gを超える農薬散布などのドローン飛行に際して許可・申請が必要となります。また、適切な許可を得ずに飛行させた場合には、懲役または罰金に科せられる可能性があります。こうした背景があり、農薬散布ドローンをはじめドローンの活用には、事前に飛行許可申請などの行政手続きを行う必要があります。
特に、ドローンで農薬散布する場合には、原則許可申請が必要で、申請の際に、機体の安全性を示すための資料が必要になります。
一般に市場に流通している農業用ドローンは、各メーカーで開発時に申請に必要な条件を満たすよう設計されているので、申請時に提出する資料も一部省略される場合があります。しかし、自作もしくは改造した農薬散布ドローンでは、実際の機体の写真や部品の写真、操作方法などを示す資料等を用意しなければならず、最悪の場合、許可が下りないこともあるので、ドローン利用に当たっては大きなリスクとなります。

正常に飛行できない可能性や保険に加入できないケースもある

市販品の農薬散布ドローンであれば、メーカーできちんと動作検証された上で出荷されますし、仮に不具合が発生した場合にも交換や修理対応を受けられます。しかし自作・改造ドローンの場合、正常に飛行できない可能性もあり、交換や修理の対応も自己責任で行うしかなく、ドローン取扱いに対する安全性の担保が不十分な場合もあります。
それに加え、保険にも加入できない可能性があり、事故を起こした場合には個人でまかないきれない罰金や慰謝料が発生するケースも想定されます。農薬散布ドローンは民家への落下、人との衝突事故など、さまざまな危険があり、保険が適用されないのは大きなリスクです。

市販と自作、コストはどのくらい違うのか

実際に、自作した場合と既製品を購入した場合で、どれくらいの導入コストが変わるのでしょうか。

市販の農業散布ドローンの場合、機体価格は100万円~300万円程度のものが多いです。一方、自作の場合、キット等を購入して100万円以下で作ることができるようです。

そう聞くと、コストメリットが大きいと感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、前述の自作・改造ドローンのリスクを考慮すると、農業用ドローンとして正式に販売されている既製品のドローンを利用されることを強くおすすめします。
もちろん、既製品のドローンも高価なものから安価なものまで価格帯は様々ですので、ご自身の用途とご予算に応じた機種を選択ください。

市販の農業用ドローンを安価で手に入れる方法

近年、日本の農業の労働力不足が課題となっていることから、国や自治体の施策として農業用ドローンの導入のための補助金制度がいくつかあります。
これらを申請して活用することで、導入費用を抑えることができます。

参考:
【2023年最新】地域・団体利用可能!農業用ドローン向け補助金2種類https://mazex.jp/blog/group-subsidies-2023.html
【2023年最新】個人利用可能!農業用ドローン向け補助金2種類https://mazex.jp/blog/individual-subsidies-2023.html

マゼックスでは安全・手軽に利用できることにこだわって、日本の圃場に適した農業用ドローンを開発・製造・販売しています。ドローン導入後のサポートも手厚いと好評いただいています。
また、リスクの大きいドローンの自作や改造をご検討の方も、まずは農業用ドローンを導入してからの運用コストがわかる「農業用ドローンの料金シミュレーション」をご用意ください。思っていたより少ない予算で導入できるかもしれません。

農業用ドローンの料金シミュレーション