農薬散布ドローン『飛助MG』の最大の特長は「散布性能の向上」です。ドローンの薬剤散布に不可欠なのは「ダウンウォッシュ」。散布性能が左右されると言っても過言ではありません。しかし、無人ヘリと比較し、機体が軽量であるがゆえに、ダウンウォッシュの強さもなく、薬剤が風に流されてしまう傾向にあることがデメリットとされていました。
ドローンは「4枚」、「6枚」、「8枚」のプロペラ数が主流で、他社メーカーの多くは「8枚、もしくは6枚プロペラ」を採用しています。当社でも開発時に6枚でテストするものの、実験の結果、散布ムラが大きく発生したので6枚を断念し、強いダウンウォッシュを生み出せる「4枚プロペラ」を採用いたしました。しかし、4枚プロペラだとダウンウォッシュが渦巻く現象が起こり、これもまた薬剤散布の時、風に流される原因になるため適していないと言われていました。
そこで考えたのが、「4枚プロペラの強いダウンウォッシュを活用しつつ、渦の影響を受けにくくする」ために、「前後切替」を開発しました(特許出願中)。進行方向前側のノズルから薬剤を散布し、前側のプロペラから生じたダウンウォッシュで薬剤を抑えつけながら、さらに後側のプロペラより発生したダウンウォッシュにより、作物に薬剤を付着させるという方法です。これにより散布効率を向上させることを実現しました。
『飛助MG』は「農薬に4枚プロペラは効率的ではないので適していない」という業界の常識を覆す結果となりました。
ドローンは軽量なので、なかなか強いダウンウォッシュが発生させにくいと言われています。しかし、大きなプロペラだと強いダウンウォッシュが発生させやすく、大きなプロペラを搭載するには、プロペラ数を少なくする必要があります。
【メリット】
□強いダウンウォッシュを発生させやすく、薬剤を作物の根や葉にも効率的に散布できる
□低回転で静か=住宅地にある畑でも早朝から作業が可能
上記の比較写真にもあるように8枚プロペラよりも、4枚プロペラの方がダウンウォッシュが強い様子が分かると思います。4枚プロペラは作物の根元や葉の裏にまで風を送りこむことができています。
=それだけ薬剤散布の効果が表れやすい。
農林水産航空協会認定機の認定基準は変動係数「30% 以下」です。当社の『飛助』シリーズは10.92 ~13.15% と認定基準を大幅に上回っています。ドローンでありながら、散布性能が高いとされる無人ヘリ並みの数値を記録しています。また、前・後進の数値にも大きな開きがないため、農薬を均一に散布できることが証明されています。
□散布品質
ドローンはダウンウォッシュが弱く、少しの風で薬剤が流れてしまうドリフト問題が課題でした。『飛助MG』は強いダウンウォッシュを実現し、さらに前後切替機能により散布品質を向上。薬剤コストも削減可能です。
□効率性
時速15km、散布幅4m で飛行し、1ha(10,000㎡)を約10 分で散布します。また、そのまま隣の田畑にも移動できるため、人の手で散布する時間のおよそ1/5 の時間で作業を完了。作業時短に役立ちます。
□薬剤効果
防除を委託する場合、コスト面で回数を最小限に抑えがちです。しかし、同じ費用で回数多く散布することができ、薬剤の効果を最大限に発揮します。
4枚プロペラのメリットは「強いダウンウォッシュの発生」ですが、強すぎるあまりに巻き上げる渦も強く、薬剤が流れてしまうこともあります。そこで、当社ではその渦から抜け出すために『前後切替』を開発しました。前進する場合は前側のノズルから、後進する場合は切り替えて、後側のノズルから薬剤を散布し、全てのプロペラから発生する強いダウンウォッシュを利用でき、薬剤を効果的に散布する仕組みを取り入れました。
また、使用しているノズルも農業用ではなく、きめ細かく、均等に散布するように基準が定められた工業用途で知られているドイツ製のノズルを採用しております。